子供たちの健やかな成長には、「早寝早起き朝ごはん」をはじめとした規則正しい生活習慣が大切です。近年、子供たちの生活習慣の乱れが学習意欲、体力、気力の低下の要因の一つとして指摘されています。
家庭における食事、睡眠などの乱れを個々の家庭や子供の問題として見過ごすことなく、社会全体の問題として、子供たちの基本的な生活習慣を確立させ、生活リズムの向上を図るための取組を推進していくことが必要です。
朝食を毎日食べている子供の方が、学力調査の平均正答率や体力合計点が高い傾向にあります。
従来から「寝る子は育つ」と言われていますが、睡眠には心身の疲労を回復させる働きのほかに、脳や体を成長させる働きがあります。
脳には海馬という知識の工場があり、睡眠中に活性化し、昼間経験したことを何度も再生して確かめ、知識として蓄積しています。この海馬の働きを助け、子供の成長に欠かせない脳内物質であるメラトニン(暗くなると分泌され、体温を下げて眠りを誘う働き)と成長ホルモン(寝入ってすぐの深い睡眠時に分泌され、脳、骨、筋肉の成長を促す働き)は眠っている間に活発に分泌されます。眠る時間が遅くなると、これらの脳内物質の分泌に影響を与えてしまうので、午後9時ごろには就寝させるように心がけましょう。
朝の光を浴びると、脳の覚醒を促す脳内ホルモンであるセロトニンが活発に分泌されます。その結果、頭がスッキリと目覚め、集中力があがります。また、自律神経が副交感神経から交感神経に切り替わり、活動に適した体になります。
セロトニン分泌は、夜寝ているときにはなく、朝起きると始まります。セロトニンの分泌を増やすには、陽の光を浴びて体を動かすことや、しっかりと噛んで朝ごはんを食べること等が効果的です。
一方、陽が沈むと睡眠を促すホルモンであるメラトニンが合成されます。このメラトニンは、セロトニンを材料にしているので、昼にセロトニン分泌を増やすような活動をすることが大切になってきます。
このように朝の光を浴びて、昼に活動を行うことにより、夜にはメラトニンがたっぷりと合成され、よく眠ることができるようになります。
脳のエネルギー源はブドウ糖です。ブドウ糖は体内に大量に蓄えておくことができず、すぐに不足してしまいます。また、私たちの体は寝ている間もエネルギーを使っているので、朝にはエネルギーや必要な栄養素が少なくなっています。つまり、朝起きたときは脳も体もエネルギーが不足した状態なのです。そのため、朝食でブドウ糖をはじめとする様々な栄養素を補給し、午前中からしっかり活動できる状態を作ることが大切です。
しかし、ドリンクやゼリーなどで栄養を摂りさえすればいいというわけではありません。朝食でもう一つ大切なことは『よく噛んで食べること』です。『噛むこと』で脳が覚醒し活発になります。また、口に食べ物が入り、胃に送られてくると腸や大腸が動き始め、内臓も目覚めます。それが朝の排便習慣にもつながります。
子供の体力が低下しており、その向上のためには適切な睡眠、食事、運動が大切であることや、近年小学校1〜2年生から学級崩壊が生じているように、家庭や地域の教育力が低下し、幼児期の基本的生活習慣の確立やしつけが十分になされておらず、「地域総ぐるみ」での教育再生への取組みが求められていることにかんがみ、文部科学省では、「早寝早起き朝ごはん」運動の励行など、幼児期からの基本的生活習慣の確立を目指して「子どもの生活リズム向上プロジェクト」事業を平成18年にスタートさせました。同時に、これを実際に国民運動として推進する母体として、「早寝早起き朝ごはん」全国協議会が設立されました。
当協議会では、子供たちの健全育成に関心を持つ企業・団体等の皆様とともに、「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進するため、様々な活動を行っております。
会長:遠山 敦子(元文部科学大臣)
設立:平成18年4月24日
会員数:314(令和5年7月現在)
平成24年度より表彰制度を創設し、
優れた実践の表彰、
更なる地域の取組みの活性化を図る
「早寝早起き朝ごはん」全国協議会では、活動を支援してくださる推進会員を募集しています。